考える

【憲法改正】賛成派・反対派の意見を考える。本当の自立と立憲主義とは。

少し前ですが、朝まで生テレビでウーマンラッシュアワー村本さんがコメントをしたことをきっかけに、「憲法改正」について耳にする機会が増えてきています。

村本さんのコメントの是非については、ここでは置いておきますが、そもそも「憲法改正」の賛成・反対がどういった考え方に基づいているのか確認したいと思います。

立憲主義を採用している日本において、憲法は国の根幹とも言えるもの。国民のために存在するあらゆる法律の前提となる唯一のものです。

憲法の改正は、今後の日本のあり方を考える上で、避けては通れない議論です。

憲法の成り立ち

日本国憲法の成り立ちを確認します。

1945年のポツダム宣言の受諾により終戦となり、新しい憲法の策定が始まりました。

当初日本の内閣が主体となって策定していましたが、草案段階で内容がスクープされ、これを見たGHQから内容について意見が出て、「戦争の放棄」「象徴天皇制」「封建制の廃止」のマッカーサー3原則に基づく、新草案がGHQの監視下で進められました

GHQの支配下にあった状況で策定された憲法であることから、日本国憲法自体のそもそもの解釈について意見が別れています。

①GHQの監視下で策定されたものであり、日本が主体的に策定したものではない。アメリカに押し付けられたものと捉える考え方、

②あくまでGHQは監視していただけで、日本の政府が正規の手続を踏んで策定したものと捉える考え方、

の2つがあります。

当時、アメリカは日本を占領していました。確かに、アメリカが押し付けた訳ではなく、当時の日本政府が議論をして手続を経て策定してはいますが、アメリカの意見が強く反映されたと考えられます。その意味では、日本が主体的に決めたとは言いにくいと考えるのが通常の感覚だと思います。

ただ、アメリカの意見が強く反映された=日本が自ら作ったものでないので、作り直さなければならないという訳ではないです。ここはあくまで別の問題です。

問題となっている憲法条文

色々な意見がありますが、一番議論になるのは第9条です。

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

戦争を放棄、戦力を持たない、交戦権を認めない、この3点が明確に定められています。

一方で、日本には自衛隊がいて、かなりの戦力を有しています。

これはなんだ?戦力を持たないと言っている憲法9条と違うじゃないか?ということから、問題となっています。

自衛隊の位置付け

1950年に朝鮮戦争があり日本を統治していたアメリカが朝鮮半島に軍を移動される必要が出てきました。このため、日本での治安維持のためにアメリカが設立を要請し、1952年警察予備隊が発足されました。その後、保安隊と名前を変えた後、1954年に正式に自衛隊として発足しました。

当時も憲法解釈が問題となりましたが、憲法9条は独立国としてわが国が自衛権を持つことを認めており、自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のための必要相当な実力部隊を設けることは、憲法に違反するものではないという解釈により、憲法上認められるものとして位置付けました。

この解釈は今も議論の大前提として継続しています。

自衛隊は戦力ではなく、自衛権行使のための軍隊ではない組織という位置付けになっています。

その後、湾岸戦争、PKO派遣、イラク戦争などの際には、軍隊ではないという位置付けを前提とした上で、海外への派遣を武力行使ではないという整理を行い、自衛隊の活動範囲を憲法解釈によって拡大させてきています

現時点では、直接的・間接的に日本の存在に脅かされる事態や国際平和活動のために他国軍を支援することは軍事活動ではないという整理まで解釈が拡大しています。

※憲法解釈についてはこちらのサイトが非常に分かりやすいです→HUFF POST

憲法改正についての意見

世界情勢の変化を受けて、憲法解釈はどんどん拡大・変化しています。この状況をどう捉えるのか、賛成派と反対派で意見が分かれています。

賛成派の意見

現状と憲法のズレを埋める必要がある!と言う意見です。

・憲法はアメリカが押し付けたものであり、日本が独自に作ったものではない。日本独自の憲法を作るべき

・自衛隊の位置付けを明確にし、国防を担う自衛隊員のためにも活動の意義を明確にすべき

・世界情勢の変化に合わせて、他国同様に柔軟な対応が行える普通の国になるべき

反対派の意見

憲法があることで日本の安全が担保されているから変える必要なし!と言う意見です。

・活動範囲が世界中に広がり、専守防衛ではなく武力行使に歯止めが効かなくなる

・現状でも解釈でクリアできている存在であり、改憲をする必要性がない

・世界に類を見ない憲法であり、9条の存在自体が尊いものであり守るべき

どう考えるべきか?

憲法及び自衛隊の成り立ちから考えると、アメリカの意思が大きく影響しています。アメリカが有利になるように憲法を作り、また自衛隊の存在も認めたと言うことです。

そして、アメリカから影響を受けている状況は今も続いています。

とするならば、憲法改正についてはアメリカが有利になるように日本に働きかけていると捉えるのが自然な考えです。

また憲法は国の形を作るものであり、長期的な環境変化にも耐えうるものでなくてはなりません。

アメリカの思惑が強く働いていると言う背景がある前提で、長期的に見て日本のためになる憲法がどう言うものかを考える必要があります

アメリカの思惑は?アメリカにとって有利な選択は?

アメリカの本音としては日本の自衛隊に、以下の点を求めていると考えます。

①アメリカ軍を助ける存在であること

②日本からアメリカ軍の存在を排除しない程度に、日本の防衛を担う存在であること

通常の軍隊として、アメリカ軍を援護する存在として活動することを望んでいるはずです。とすれば、自衛隊の存在が曖昧ではなく、憲法上明記された方が良いと考えているはずです。

また、東アジアの安定という観点から見ても、同盟国である日本の自衛隊が軍として存在し、柔軟な活動ができる状況にある方が有利であると考えられます。そもそも9条を含む憲法を作るように誘導しておいて、自衛隊の発足を求めたことからも東アジアの安定のためには、日本の武力が欠かせないと考えていることは明らかです。

この状況から考えると、アメリカの思惑は憲法改正にあって、その方向で働きかけているはずです。安倍首相に限らず、過去の自民党政権での判断を見ても、この傾向が明らかに読み取れます。

日本のためになる憲法とは?

アメリカの強い意思が働いている前提も考慮した上で、日本が取るべき選択肢はどちらでしょうか。

メリット・デメリットから考えます。

憲法改正のメリット・デメリット

メリット→アメリカとの関係強化され、日米安保体制による安全保障が強化される可能性が高まる

デメリット→アメリカの思惑通りになってしまい、憲法9条を縦にした活動の制限ができなくなる

憲法改正をしないメリット・デメリット

メリット→憲法9条を縦に、アメリカからの要請を制限することができる。これを外交上のカードとして使える。

デメリット→アメリカとの関係が強化できない。日米安保体制による安全保障の強化に繋がらない可能性がある。日本独自の安全保障体制を構築しなければならない。

メリット・デメリットは裏表ですが、大きな大前提があることがわかります。それは、日米安保による安全保障を日本の国防のキーにしている点です。日米安保を前提にすると、アメリカとの関係強化という点からは憲法改正が良いということになります

では、日米安保を重視しない安全保障政策を取るとした場合には、どうなるでしょうか?この場合、アメリカに頼らない安全保障となるため、日本の軍備は不可避となります。

憲法改正をしないこと=日米安保の強化には繋がらないとするならば、この選択をした先には結局日本の軍備に行き着くと考えます。軍備をしないで国防を成立させることは、非常に難しいためです。

結果、論理的な方向性として、どちらにしても安全保障上、日本の軍備は不可避であり、いずれ日本は軍備を整える=自衛隊を憲法に明記する=憲法改正という整理に向かわざるを得ないと言えます。

もう一つの考え方

純論理的には、日本の軍備は必要であり、現状とのギャップを埋めるためには憲法改正が必要という結論になると考えます。しかし、さらにそれを踏まえて、もう一段上から考えるアプローチもあります。

日本の軍備が必要と考えることは簡単だが、そうではなく現状の枠組みの中で、うまくバランスを取り続けるべきという考え方です。

現時点において、憲法の解釈で自衛隊の存在を許容できていて、武力行使はしないという有力なカードを持つことで、結果的に日本の安全が担保できているのであれば、この枠組みを維持する方法を考えるべきという考えです。

立憲主義というものが、不安定な人間の思考に左右されない統治体制のためにあるとするならば、仮にその憲法に違和感があるとしても、それを変えるのではなく高度な解釈をして対応することで国としての在り方が保たれる。右か左かというビジネスライクな判断ではなく、その中間をゆらゆらと進む、常に非常に高度な判断が求められる考え方です。

これも一つの解ではないかなと。

最後に

憲法は国の根幹をなす、国民にとって非常に重要なものです。

だからこそ、日本のためになる憲法である必要があります。

もし今の憲法が日本のためにならないのであれば、改正する必要がありますが、憲法を解釈する側の能力の問題で改正する必要があるということであれば、まず能力を上げる努力をすべきと言えます。

現状が憲法に問題があるのか、解釈する側に問題があるのかは判断が難しいところです。それ故にもっと深い議論が必要です。

改憲反対派のイマイチな対応のせいで、議論が深まらないまま単純に改憲へと向かっている気がします。

改憲に向かうとしても、もっと深い構造的な議論が必要ではないかなと。