考える

武田薬品の本社売却に思う。創業の地を置いておくことの意味。

武田薬品が創業の地、大阪道修町の本社ビルを売却するというニュースが出ました。

武田薬品といえば、日本の製薬企業のトップを入る世界的企業(とはいえ世界では中堅製薬メーカー)です。

売却後の賃借予定とのことですが、創業の地を手放す判断をしたことになります。

武田薬品とは

武田薬品は世界で戦っている数少ない日本の製薬メーカーです。

薬の町である大阪の道修町の中でも、一番成長した企業の一つでグループで2兆円近い売上高を有します。なお、道修町は登記上の本社、東京がグローバル本社(実質的な本社)という位置付けです。

ちなみに、他にはアステラス製薬、塩野義製薬、田辺三菱製薬、大日本住友製薬なども、大阪道修町から生まれているので、道修町はザ・薬の町ですね。

(出典:毎日新聞ニュース)

日本の製薬メーカーのエースという存在で、ガバナンスも一歩先を行っていて、外部から外国人役員を登用しています。

また、少し前には、非常に高額な金額でシャイアーを買収したというニュースも出て、世界を驚かせました。

武田薬品のシャイアー買収。製薬業界の生き残りをかけた厳しい戦いは続く。

製薬企業が置かれている状況

製薬企業のビジネスモデルは、新薬を開発してその薬の特許期間内に高めの薬価で売ることで収益を獲得するビジネスモデルです。

つまり新薬が売れれば莫大な収益を獲得できる一方で、開発ができないと収益源が自動的に無くなってしまう構造の中で生きています。しかし、過去の開発で大型新薬がほぼ出尽くしているとも言われていて、目新しい新薬は出てこなくなってきているという状況にあり、今後の収益源の獲得が大きな課題になっています。

そして、自社開発だけでは間に合わないので、新しい薬のタネを持っている企業を買収するケースが非常に多くなっています。

儲かってそうだなーと外からは見えますが、実は薬の特許が切れると薬価という販売価格がガクンと落ちて急激に収益が落ち込むという特徴があります。特許切れ薬を取り扱うジェネリックメーカーの台頭と新薬が出にくい現状が重なり、世界的に非常に厳しい戦いを強いられている業界になってきているとも言えます。

武田薬品も例外ではありません。

武田製薬の本社売却

製薬企業が置かれている状況を考えると、なぜ創業の地を手放す決断をしたのか分かります。

「背に腹はかえられない」

これが本音ではないでしょうか。

創業の地だという理由で、自社ビルを置いておくことの必然性や余裕はもうないという状況なのです。自社ビルを持っていても収益を生み出す訳ではなく、できるだけお金を持って開発や買収を行っていかないと先がないと考えているということです。

また、最近、武田薬品は東京日本橋にグローバル新本社を建設しました。

(出典:朝日新聞ニュース)

機能的には最高の本社を手に入れたことで、大阪に名目だけの本社を残す意味はさらに薄らいだということでしょう。

ちなみに、大阪の道修町を歩いていると武田と名のつくビルが多数あります。おそらく武田薬品のビルだと思いますが、同じように売却される、もしくは既にされているのかもしれません。寂しいですが、これが現実なのでしょう。

最後に

製薬業界も他の業界の例外ではなく、厳しい生存競争がある業界となっていることから、今回の意思決定になったと思われます。

名より実をとる、そんな時代になったと言えます。

武田薬品も例外ではなく勝負をしているのです。